お客様ブログ(アラ還 老女の「動かすカラダ」体験記)第5回。
* * * * *
メッセージを留守電に入れ、20分後ぐらい。
新百合ヶ丘駅前のスタバに入ろうか入るまいか、いや、このまま今日も諦めて帰宅しようか、いや、でも、この絶望的な気持ちのまま帰宅するのって、かなりまずい気がする。どーしよー……と迷っているとき、スマホが鳴った。電話だ。
おお、さきほどの留守電番号。男性の声。
「もうすぐ戻りますから」と、やさしそうな声。西岡先生との初会話だった。
よかった、今日、体験できるという。
再び「うごきのステーション」へ。西岡先生がいらっしゃった。
丸顔でほっそりした身体、青系無地Tシャツに黒いハーフパンツ+スパッツ、黄緑のスポーツシューズ……だったと思う。初対面の印象を思い出せない。どうも、このときのわたしはあまりに絶望していて、心の余裕ゼロどころかマイナスだったようで……。
運動する前に、ちょっと身体の状態を見ましょう、といわれて、西岡先生は、なんと、店内の片隅に置いてあった茶色のおっきなトランクのようなものを取り出し、広げて、組み立て始めた。あっというまに、診察台のようなベッドが出現。びっくり。大変精巧な折りたたみベッド! その上に横になると、先生がわたしの足を持って上げたり回したり。
実はこのとき、茶色のカーテンが閉められて(そりゃ、そうだわ、診察だもん)、でも、どきっとした。ちょっと怖かった。妖しい空間ではないとは思いつつも、心のどこかでアラートが鳴る……。
「身体が動くのをいやがってますね」といわれて、うなずく。ほんと、そうだから。「股関節がすごく固いですね。お尻がまだ痛がっていて、足の外側に力を入れて動いてる。足の内側の筋肉(内転筋)を使って歩けるようになると、体幹や体軸が強くなり、ケガや風邪をひきにくくなります」とのこと。なるほど、納得。心のアラートは止まった。
「じゃあ、無理しないでやってみましょう」とのことで、診察台状ベッドは、再び、あっというまにもとのおっきなトランクに戻る。あ、やはり、ちょっと妖しい魔法の館っぽい。
で、さっそく運動指導スタート。
まずは、姿勢チェックということで、正しく立てているか? 壁にかかと(足の幅はこぶし1個半・つま先まっすぐ)、お尻、肩甲骨、頭をつけて立つ。ここから片足立ち。太ももを90度上げていく。10秒停止。できればOK! これが、「うごきのステーション」推奨の“100歳まで歩く!走る!”基本の姿勢と動きなんだそう。できるかな? と西岡先生。
言われたとおりに立ってみる。ん? 左肩が少し痛い(つまり、いつも左肩を前によじって立っている?)。お尻を壁につけると、お腹をひっこめた感じがする(つまり、いつもお腹を少し前に突き出して立っている?) そうか、わたしは左肩を前に出し、腰を反らして立っていたのか。だめじゃん、それ。歪んでるじゃん。ががーん、小さくショックを受ける。
次、その姿勢のまま片足だけを上げようとしたが、まったく上がらない。上がる気すらしない。手を壁に押しつけてもいいよ、といわれてやってみたが、それでもできない。なにか手がかりがあれば……と、近くにあったソファの背もたれを片手でつかんだ。やっとできた。が、ぐーらぐら。片足立ちすらまともにできないなんて……わたしはかなりショックを受けていた。
けれども、「大丈夫、ほとんどの人はできないから。でも、絶対できるようになる」と西岡先生。
まず、正しい身体の動きを脳に記憶させること。すると脳が覚えてくれる。最初はできなくても、「毎日継続」してやれば、脳からの指令を身体が覚えてくれる。絶対、だれでもできるようになる、と。
わたしにとって、絶望ショック連続のあと、小さな希望の光が灯った瞬間……。
*つづく
(text by ooiNatsuyo)
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