今日はコラムを書いていきます。

常々重心が大事です、ということをお伝えしていますが、
今回は重心をどのように運んでいくのか、ということについてです。

以前もお伝えしましたが「重心を如何に速く目的地まで運ぶか」ということが
“速く走る”ということでしたね^^

ではその重心を【どのようにして目的地へ運んでいくのか?】その方法が大事になってきます。

重心はあくまでも”空間的に存在する点”なので「運ぶ側」ではなく
「運ばれる側」に相当します。

ですから「運ばれる側」の重心を「運んでくれるもの」が必要になってくるのです。

では重心を「運んでくれるもの」とは一体なんでしょうか・・・?

それはわかりやすいもので言えば人間の体の中で2つ存在します。
【腕と足】です。

非常に単純ですね^^

腕と足を使って重心を目的地へと運んでいくのです。

ではその腕と足、両方をしっかり使って重心を運ぼう、と意識して運動を行えば重心をしっかりと運ぶことができるのか、と言われると実はちょっと微妙なところなのです。

なぜかと言うと、人間は本気度が高い運動になればなるほど動いている最中に
意識できることが減ってきてしまうからです。

本気度が下がれば(ジョギングなど)腕をこう振ろう、姿勢はこうしよう、足はこう使おう、などと色々意識して運動をすることはできるのですが、本気度100%みたいなスプリントではそうはいかないのです。

意識できて1つのことくらいだと僕は考えています。
(僕が実際にMAXパワーで走る時は体幹をよく使おうかな〜くらいでそれもちゃんと意識できてるかは怪しいですw)

ですから腕と足、両方を使って重心を運ぶことはできるのですが、意識して使うのは
どちらか1つの方が良いと思います。

では腕を使って重心を運んだほうがいいのか?
それとも足を使って重心を運んだ方がいいのか?

結論から言えば【腕で運んだ方が効率がいい】です。

ではそれがなぜなのか?と言うことを説明していきます。
これを理解するために是非覚えていただきたいことをもう1つお伝えしておきます。

スプリントのタイムというのは2つの要素から成り立っています。

それは
【ピッチとストライド】
です。

1秒間あたり何歩足を踏み出すことができるのか、というのがピッチに当たります。
要は回転数みたいなものです。

ストライドは1歩1歩あたりの歩幅のことですね。

当然ストライドが広く、ピッチが速いほどタイムは良くなります。
これを覚えておいて下さい。

では話を【腕で重心を運んだ方が効率がいい】に戻します。

腕で重心を運んだ方が効率がいいという点の1つに
【腕と足は常に1対1で動いてくれる】ということがあります。

どういうことかというと、漫画の描写でよくありがちですが、
足だけが高速回転して(ピッチがめちゃくちゃ高い)、腕はそんなに振られていない(ピッチが低い)というようなことは実際の走りではあり得ない、ということです。

1回腕を振れば1回足が出てくる、というリズムで人は走ります。

腕を振っても足を振っても必ず1対1の同じリズムになるのです。
なのでどちらを振っても必ずもう1方も動いてくれるのです。

では非常に単純ですけど
「腕と足はどちらが軽いでしょうか?」

これは比べるまでもなく腕の方が軽いですよね?
なので腕と足だったらどちらの方が速く動かせるかというと
腕の方が速く動かすことができるのです。

ですから腕を振った方が【ピッチを上げやすくなる】のです。
さらに腕で重心を運ぶ際には「腕で直接重心を押す力」で運ぶことができます。

腕は「おへそのあたり」を通過することができますよね?
しかし足で重心を運ぶ際は足で地面を蹴り、そこから得られる「反作用の力(反力)」で重心を運ぶことになります。

もちろん地面から受け取った反力を殺さないように足を使う、ということも非常に重要なのですが、腕で重心を押すということは世間的に思われてる以上にかなり影響力が強いのです。
(足の使い方に関しては別途解説します)

その結果【ストライドを広げることができる】のです。

つまり、腕で重心を運ぶことができれば足だけを意識して重心を運ぶ人に比べてピッチもストライドも上げやすくなる、ということなのです。

 

text by 新垣隆史

 

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