不登校は、もはやネガティブな言葉ではない。

日本の状況 25人に1人 1クラスに1人以上が不登校を経験
分類 不登校生数 全体の割合
中学生 128,000 3.94
高校生 50,000 1.6

日本の不登校生徒は25人に1人、1クラスに1人以上が不登校を経験している計算となっています。不登校は決して珍しい状況ではありません。文部科学省の調査報告書「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、2019年度に不登校状態にあった中学生は全国で約12万8,000人、割合にして3.94%が不登校になっていたことがわかっています。

一方、高校では、同年に不登校状態にあった人数は約5万人、割合は1.6%となっていてパーセントとしては少なく見えますが、高校の場合は出席日数不足などで留年する前に、中途退学をしている人が一定数いることが考えられます。不登校は一部の人だけが経験する特別なものではなく、誰にとっても身近な問題となっており、もはやネガティブな言葉としてだけで終わるような状況ではないといえます。

不登校のタイプは?

不登校は下記のタイプに大別されます。不登校になった原因のうち、本人に関係する要因から不登校を5つのタイプに分けて見てみましょう。

不登校のタイプ
人間関係タイプ 不安タイプ
遊び・非行タイプ 無気力タイプ
その他・複合タイプ

1.人間関係タイプ

友人関係、先輩・後輩との関係、教員との関係などを理由に不登校になってしまったタイプです。これにはいじめによる人間関係も含まれます。

2.不安タイプ

情緒的に混乱しており、漠然とした不安から登校できなくなってしまったタイプです。本人は「登校したい」と思っているものの、朝になると何故か体の不調が起こり、学校に行けない場合もあります。このタイプは、学校や家庭で周りからの期待に応えようと頑張りすぎた結果、ストレスや疲れが限界に達している状況にある可能性があると言われています。

3.遊び・非行タイプ

学校に意味を見出せなかったり、遊ぶために非行グループに入っていたりするために学校に行かなくなってしまったタイプです。このタイプの場合は、しっかりとルールを守らせる教育的指導を行うとともに、規則正しい生活習慣を身に付けさせ、学習に関心を持つよう導いたり、学校のほか、必要に応じて外部の専門機関にも相談しながら対処したりすることが、不登校の解消につながっていくと言われています。

4.無気力タイプ

何らかの理由で日々に物足りなさを感じたり、自分を肯定できなかったりして、何事にも無気力になってしまっているタイプです。本人の希望に応じて、無理のない範囲で習い事をさせてみたり、フリースクールや適応指導教室に行かせてみたり、家庭の中で家事などの役割を与えたりすると、本人の充足感につながる可能性があります。また、学力面で自信を付けさせるのも有効な手段です。自宅にいながら学習できるオンラインスクールの選択肢も効果があります。

5.その他、複合タイプ

上記のタイプに全て分けられるわけではなく、複数のタイプの特徴をあわせ持っている場合もあるようです。子どもの様子を注意深く観察し、丁寧に話を聞きながら、状況を把握していく機会をもつことが重要です。